■相手をやり込めてはいけない
子どもは親が認知症であっても、こうした残存能力があることを忘れてはならない。親の認知症が進行して自分たちの心身のストレスが増すと、子どもは親に対してまともに向き合わなくなることが少なくない。突き放したり、無視したりする行為は認知症の症状を悪化させるだけだ。
子どもが覚えておきたいのは相手を機嫌よくさせる「合いの手」である。
たとえば、何度同じことを言われても「さっき聞いた」ではなく「へえ、そうなんだね」。少し前と同じ質問をされても「さっき言ったでしょ」ではなく「忘れちゃったの?」「〇〇だったよね」といった具合に優しく応ずる。こうした「合いの手」は、正しい理解を相手に強引に求めるためのものではなく、相手が機嫌よく言葉をやりとりするためのものだ。
後悔しない認知症