6カ月以上続く膝痛には「運動療法」が効果あり 医師が解説

歩くと痛みが消える

「不安は、このまま動けなくなってしまったらどうしよう。抑うつは、痛みで何もする気がしない。破局化思考は、痛みさえなければ何でもできるのに、というもの。運動療法で、不安の解消と破局化思考の改善ができ、動くことでドーパミンが遊離されるので抑うつの改善も期待できます」(伊達院長)

 慢性疼痛で突発的に出る痛みは平均30分だと、伊達院長は指摘。30分すると痛みは自然に軽減するが、突発的な痛みの時に頓服を服用すると、薬の効果か自然経過かは不明で、患者は頓服のおかげだと思い、薬に依存してしまう。一方、痛い時に体を軽く動かして30分後に痛みが軽減すれば、患者は運動が痛みを軽減したと認識し、薬の依存からの脱却にもつながる。

 今、慢性疼痛の治療で注目されているもののひとつが、パルス高周波療法による神経ブロックだ。

「神経ブロックには何種類かあり、麻酔薬だけのものは長時間持続しません。神経破壊作用を用いた神経ブロックは効果が長時間持続しますが、運動神経を含む場合は脱力の危険があり、上肢・下肢には施行しにくい。一方、パルス高周波療法による神経ブロックは、神経破壊を伴わず、長時間効果が持続する可能性があります。膝の関節内注射でよくならない慢性疼痛では1回の治療で痛みもADL(日常生活動作)も改善。数カ月その効果が持つこともあります」(伊達院長)

 さらに、脊髄に微弱な電気を流して慢性疼痛を緩和させる「脊髄刺激療法」も登場している。

 今後、運動療法、パルス高周波療法、脊髄刺激療法などの組み合わせで、慢性疼痛のつらさから解放される人が増えていくことが期待される。

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