5年後に治る可能性 「遺伝子治療技術」で難病が消えていく

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 特定の遺伝子の機能が欠ける「遺伝子疾患」であるこの病気は、発症する時期や病状によって5つの型に分かれる。出生後すぐに亡くなる0型、生後6カ月までに発症するI型、7カ月から1歳半までに発症するⅡ型、1歳半から20歳ごろまでに発症するⅢ型、成人期に発症するⅣ型だ。

「スピンラザは、SMAの原因である遺伝子の変異部分を複製しないようにする薬です。翌年には、この疾患の治療薬の真打ちとも言える新薬『ゾルゲンスマ』が登場しました。アデノ随伴ウイルスを用いて正常な遺伝子を発現させるものです。米国では2019年に承認され、日本でも、画期的な新薬に限って審査期間を大幅に短縮する『先駆け審査指定制度』により2018年末に申請されています。この薬の問題点のひとつは、米国では1例当たり2億円を超えたという治療費です。1回投与の超高額注射薬というのは、治療を担当する医師でさえ内心ドキドキです。治療費の問題に加え、複雑な製造工程が審査対象であることなどもあり、先駆け制度には珍しく長期化していて、承認審査の完了は来年に持ち越される状況です」

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