ほかにも、大動脈が裂けて死亡リスクが高い大動脈解離を招いたり、冠動脈が詰まって狭心症が表れる場合もあります。また、細菌が大動脈弁に巣食うと大動脈弁逆流を起こします。
ただ、ここまで悪化するのは第4期(感染後10年以降)で、最近はほとんど目にしなくなりました。梅毒にはペニシリン系とセフェム系の抗生物質がよく効くので、早期に治療を開始すれば進行せずに完治するのです。とはいえ、流れが変わってしまった今後は増える可能性もあります。自覚症状がないまま進行するケースもあるので、感染の不安がある人は定期的なチェックが大切です。
梅毒は心臓手術にも大きな影響を及ぼします。患者さんが感染したままの状態で手術を行うと、医療者側に感染するリスクがありますし、院内感染にもつながりかねません。また、手術を受けると患者さんの抵抗力が一時的に衰えるため、感染があると病状が悪化したり、他の合併症にもかかるリスクが上がってしまうのです。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」