Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

石田純一はTV番組で余命8年と 肝臓の線維化を知る検査2つ

ワインを2本も空けたら…

 脂肪肝でγ―GTPが上がる程度なら断酒して食生活を改善すれば、肝機能は短期間で回復しますが、さらに飲み続けると、肝細胞の破壊と修復が繰り返され、慢性的な肝炎に。軽度の肝炎までなら、ほとんど自覚症状はありませんが、肝炎は問題です。

 肝炎になると、慢性的な炎症で肝細胞が線維化します。線維化を分かりやすくいえば、カサブタのような状態。それが肝臓に広がったのが肝硬変です。

 肝硬変は、線維化が進んで、肝臓が小さく硬くなっています。そうなると、黄疸やむくみ、腹水、吐血などの症状が見られるようになり、アルコール性肝障害の影響は深刻です。意識障害を起こす肝性脳症、静脈にコブができる食道静脈瘤、腎不全、糖尿病といった合併症も発症しやすい。アルコール性の肝硬変も初期なら、断酒で改善が期待できますが、お酒を長く楽しむなら、なるべく軽度の肝炎のうちに節酒するのが無難です。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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