Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

不要検査で死亡事故 医師の見落とし対策で患者ができること

CT検査の報告書は医師から受け取る(C)共同通信社

 どんな検査であれ、100%安全というものはありません。細心の注意が必要であることは言うまでもありませんが、それでも最も怖いのは医療者の見落としです。独協医大のケースも、見落としがなければ、そんな悪夢は起こり得ませんでした。

 胸部レントゲン検査など基本的な画像検査は、各科の主治医が画像を読影しますが、CTやMRIなど高度な検査は、放射線診断医が読影し、報告書を作成します。見落としとは、ほとんどがこの報告書を主治医が見落とすことです。

 日本医療機能評価機構によると、2015年1月1日~18年3月31日の期間で、画像診断報告書の確認不足が37件報告されています。そのうち36件がCT検査によるものでした。

 見落としを防ぐには、患者が画像診断報告書を受け取り、分からない点を主治医に確認するのがよいでしょう。医療データはすべて患者のものですから、遠慮は無用です。

3 / 3 ページ

中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

関連記事