野村克也さんも…「風呂で死ぬのが幸せ」は本当なのか?

プロ野球の元監督の野村克也さん(C)日刊ゲンダイ

「人間は体温が40度を超えると、入浴中でもⅢ度熱中症の中枢神経症状(意識障害、けいれん発作など)を生じやすいことがわかっています。肩まで湯につかった場合、41度の湯なら33分、42度なら26分で体温が40度に達します。健康な人ならその前に、めまい、動悸、頭痛、嘔吐などの熱中症の症状によりお風呂から出るのですが、高齢者の場合は神経系の老化の影響でそうした症状を自覚しないまま、突然の意識障害に陥ることが多い。その結果、重篤な熱中症に陥ったと考えられるのです。その意味ではあまり苦しまずに亡くなったと考えていいでしょう」

 実際、野村さんの最期の表情はおだやかだったという。

 人間の細胞は一般的に42・5度以上で急速に死ぬとされる。細胞内には高濃度のカリウムが存在している。細胞死によりそれが血液中に流入することで高カリウム血症となると、電解質異常が生じて心臓が震える心室細動が起きる。すると血圧がゼロになり、即、心停止となる。

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