野村克也さんも…「風呂で死ぬのが幸せ」は本当なのか?

プロ野球の元監督の野村克也さん(C)日刊ゲンダイ

■入浴死の大半は熱中症死

 しかし、黒木教授は入浴中の高齢者の事故の9割は熱中症だという。

「65歳以上の男女3000人を対象にネットで入浴に関するアンケートを実施。入浴中に具合が悪くなった人を調べたところ、症状などから熱中症が62・2%、疑いがある人が22%に対して、ヒートショックの疑いがある人は入浴前後を合わせて7・1%に過ぎなかったのです。入浴中の突然死では解剖しても慢性疾患以外の原因を見つけることは難しい。そのため、そうした慢性疾患とヒートショックの症状と結びつけられて語られてきただけで、私は入浴中の事故の大半は熱中症だと考えています」

 人間の体は死亡後、いわゆる「死体現象」が起きてその姿を変えていく。湯船で亡くなった遺体はどう変化するのか?

「水の中につかっている水中死体は死後硬直などの死体現象が通常より遅くなります。人が亡くなると肛門付近の筋肉が緩み、糞尿が流れ出すといわれますが、入浴中に亡くなった人では湯船に糞尿が浮かぶというケースはめったにありません。お湯を飲んでも少量なので水膨れした遺体にはなりません。早く発見されれば亡くなって20~30分後くらいから現れる死斑も数時間出ないこともあります」

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