緊急企画 新型コロナを正しく恐れる

流行終息やイベント解禁日を推測「感染症数理モデル」とは

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの休園を知らせる電光掲示板(C)共同通信社

「1人の感染者が、平均何人の非感染者にウイルスをうつすかを『基本再感染数』と呼びます。これは病気の種類によって異なります。麻疹なら20前後(1人の患者が20人にウイルスをうつす)、水痘は10前後、インフルエンザは2~3とされています。基本再感染数が1より大きければ(1人の感染者が1人以上の非感染者にウイルスをうつせば)、感染者は時間とともに増加しますし、大きいほど感染拡大のスピードが速くなります。また1より小さければ、感染は時間とともに終息していきます」

■感染者の隔離や学校閉鎖の効果が計算できる

 そこで基本再感染数を減らすための、何らかの対策が講じられるわけだ。それが「ワクチン」と「隔離」だ。

「一般的に、ワクチン(予防接種)が有効な病気に対しては、ワクチンの義務化ないし勧奨が行われます。それによって非感染者そのものを減らしてしまい、結果的に基本再感染数を1以下に抑えようというわけです。残念ながら、新型コロナに有効なワクチンはまだ存在しませんから、この戦略は使えません。そこで次に有効なのが『感染者の隔離(ないし外出等の制限)』です。非感染者との接触をなくせば、必然的に基本再感染数がゼロになります」 

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