進化する糖尿病治療法

血糖コントロールは冬に悪くなる 春はリカバリーに注力を

春はリカバリーに力を入れる(C)日刊ゲンダイ

 患者さんの中には「ケーキやお菓子と違って、果物はビタミンが取れるから」と、“体にいいもの”と思って1日に2個も3個も食べている人もいましたが、それは明らかに食べ過ぎで、血糖値を上昇させます。

 冬に高くなった血糖値に何ら対策を講じないでいれば、次の冬にもまた血糖値が高くなります。「負の遺産」が増えていくわけです。だから、春に「リカバリーしましょう」と患者さんにお話しするのです。なお、血糖値だけに言及していますが、冬に高くなるのは血圧、脂質も同様です。したがって、血圧、脂質も、春のリカバリーが必要です。

■イスに座る時間を減らすだけでも効果が

 対策の基本は、食事です。糖尿病の患者さんにとっては耳にタコかもしれませんが、糖質、塩分、脂質は少なめに、バランスの良い食事を取る。まだ糖尿病でない人も、冬に血糖値が高い状態を積み重ねれば、いつか糖尿病となってしまいます。春には食事の見直しを行いましょう。幸いなことに、春は野菜がとてもおいしい。やわらかく甘味がある春野菜を、ごく少量の塩やオリーブオイルで味付けしていただくのはどうでしょうか?

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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