遺伝子治療薬はここまで来ている

「siRNA」を使った薬剤に新型コロナ治療薬としての期待が

写真はイメージ

 中でも、siRNAは標的となる遺伝子に対する特異度が高い。つまり、狙った遺伝子だけを抑制して他の遺伝子には影響しないため、遺伝子治療薬としてはもってこいといえるものです。いま、このsiRNAが、新型コロナウイルスの治療薬候補として期待されています。

 実際、すでにsiRNAが薬として使われている例もあります。「トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー」という病気に対する新しい治療薬として、「オンパットロ」(パチシラン)が2019年9月に発売されました。世界で初めてとなるsiRNA薬です。

 次回はこのオンパットロについて詳しく解説します。

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神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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