「ちゃんと生活ができていたのに、自治体の担当者が『何かあったら困る』と勝手に夫を施設に入れちゃったのです。妻からすれば、ある日突然、夫がデイサービスから帰ってこないのですから、必死に捜し回ります。交番で相談もしたけど、警察には“お触れ”が回っているから詳細を教えてくれない。息子2人も知らぬふり。それで日弁連に人権救済の申し立てをしたりしたのですが、結局、元に戻すことはできませんでした」
医者と神父を兼ねても、力が及ばないことは多い。
(取材・文=稲川美穂子)
死なせる医療 訪問診療医が立ち会った人生の最期