アビガン開発者・白木公康氏に聞く 新型コロナとの戦い方

インフルエンザ治療薬のタミフル(C)共同通信社

 アビガンを評価した中国の論文では発症後6日のケースのデータを取り上げていて、成果を出しているからです。中国・武漢のデータには発症後12日の数字がありますが、それでは遅いのは明らかです。

 ――アビガンを肺炎の早期の患者に投与すべき理由がほかにあれば教えてください。

 もし一般的な細菌性の肺炎やそれが原因と疑われる発熱、咳、痰が出たりした場合には、見つけ次第、抗菌薬で治療をします。呼吸困難が来てから治療しようかという医師はいないと思います。私は、新型肺炎が見つかれば、効果が期待できる薬で治療を始めましょうという当たり前なことを言っているに過ぎません。

 それと、今回注意したいのは新型肺炎の本質は、血液との間でガス交換を行う肺胞よりも早く肺胞の骨組みとなる間質を障害する間質性肺炎であることです。そのせいで自覚のないまま病状が進行しやすいのです。ですから呼吸困難に至らない軽症の人でも肺にダメージが残る可能性があります。それを医療者として見過ごすことはできないのです。新型肺炎だからといって特別な治療プロセスを取るのではなく、肺炎と同じような治療プロセスを採用すべきだと思います。

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