研究33年ウイルス学者が語る新型コロナ

出口戦略で都市封鎖は現実的でない…「新自粛」を提唱する

人通りの少ない渋谷のスクランブル交差点(C)日刊ゲンダイ

 都市閉鎖(ロックダウン)で接触機会を減らしRtの値を低くすることは、経済に与える影響を考えると現実的ではない。過去の統計では、失業率と自殺者数は明確に相関があり、1%の失業率の増加は、年間3000人から4000人の自殺者の増加をもたらすとの報告もある。そしてその自殺者増は、経済が復活するまで長期間続くのである。

 政府は早急に出口戦略を国民に明示すべきである。私は、重症化率の高い人を隔離して、明日提示する1/100作戦で、Rt値を1に近づけて、感染が徐々に広がるのを待つ「新自粛」作戦を提唱したい。

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宮沢孝幸

宮沢孝幸

京都大学ウイルス・再生医科学研究所附属感染症モデル研究センターウイルス共進化分野准教授。日本獣医学会賞、ヤンソン賞などを受賞。小動物ウイルス病研究会、副会長。

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