本格的な設備がある施設での手術なら、自己血輸血で手術に備えるのはいいでしょうが、患者さんの健康状態によって準備できないこともあるのです。たとえば貧血の方は、そもそも必要十分な採血が困難でしょうし、ほかにも腎機能が悪い、消化管出血があるといったケースは難しい。
そうすると、もうひとつの選択肢は、放射線になります。肺がん、食道がん、前立腺がん、子宮頚がんなど多くのがんで、手術と放射線の治療効果は同等です。手術の延期や輸血用血液不足が問題視されるだけに、放射線治療はもっと検討されていいでしょう。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵