Dr.中川 がんサバイバーの知恵

4月は必要量の8割に 輸血不足をカバーする2つの選択肢

可能な人は献血を(C)日刊ゲンダイ

 本格的な設備がある施設での手術なら、自己血輸血で手術に備えるのはいいでしょうが、患者さんの健康状態によって準備できないこともあるのです。たとえば貧血の方は、そもそも必要十分な採血が困難でしょうし、ほかにも腎機能が悪い、消化管出血があるといったケースは難しい。

 そうすると、もうひとつの選択肢は、放射線になります。肺がん、食道がん、前立腺がん、子宮頚がんなど多くのがんで、手術と放射線の治療効果は同等です。手術の延期や輸血用血液不足が問題視されるだけに、放射線治療はもっと検討されていいでしょう。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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