Dr.中川 がんサバイバーの知恵

4月は必要量の8割に 輸血不足をカバーする2つの選択肢

可能な人は献血を(C)日刊ゲンダイ

 緊急事態宣言が解除され、今後、献血に協力される方は増えるかもしれませんが、献血者数の低下は2月から見られていたため、十分な量にはすぐには回復しないでしょう。宣言解除後も、手術件数が8割程度にとどまっている要因は、輸血用血液の不足も関係していると思います。

■本格的な設備があれば自分の血をためる

 では、どうするか。自己血輸血です。この方法は文字通り、手術を受ける前に計画的に自分の血を採血してためておき、輸血します。一般的には手術内容と手術予定日から逆算して、造血剤を服用してもらいながら週に1回200~400㏄を採血。その繰り返しで、大掛かりな手術には2000㏄を用意します。

 院内に輸血部を構え、冷凍保存や遠心分離などの専門設備があれば、年単位で保存が可能です。しかし、そんな設備がなければ、冷蔵保存のため1カ月で有効期限が切れてしまいます。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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