東京医科歯科大名誉教授の藤田紘一郎氏(感染免疫学)が言う。
「食中毒には、冬場に増えるウイルス性のタイプと、夏場に多くなる細菌性のタイプがあります。これから夏にかけて、テークアウトで気を付けなければならないのは細菌性の食中毒で、中でも、黄色ブドウ球菌、ウェルシュ菌、カンピロバクターが多く見られます」
黄色ブドウ球菌は人間や動物の皮膚や消化管などに常在する菌で、自然界に広く分布している。食品中で増殖すると、エンテロトキシンと呼ばれる毒素を産生して食中毒の原因になる。手指からの汚染が多く、弁当やおにぎりで起こる食中毒の代表的な原因菌だ。
ウェルシュ菌も人間や動物の腸内、土や水の中にも生息するありふれた細菌で、とりわけ牛、鶏、魚が保菌している場合が多い。不適切な温度下や長期の保存、加熱処理不足で発生し、作り置きのカレーやシチューで起こる食中毒の原因になる。