まだ、ワクチンも治療薬もない新型コロナウイルスの状況は、インフルエンザが野放しだった時代と同じです。違っているのは、人口動態が超高齢化していること、生活習慣の変化によって重症化しやすい体質になっている人が増えていること、情報が入手しやすくなっているところでしょうか。
そうした「患者側の違い」が重症者や死亡者数を増やすことにつながり、情報伝達の進化が国民の不安を増幅させているといえます。もっとも、ワクチンの学童集団接種が始まっていなかった50年代は、インフルエンザによる年間の死亡者数が7000人以上だった年もありました。当時に比べ、いまは医療体制が飛躍的に進歩していることもあって新型コロナによる死亡者数ははるかに少ないのですが、世間は“パニック状態”といえる状況です。これを収束するためには、インフルエンザの例を見ても、ワクチンによって集団免疫を成立させ、抗ウイルス薬などで急性期の治療を確立するしかありません。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」