■医療機関の経営にとっても重要
こうした医療安全やEBMに対する考え方は、医療機関の経営にとっても重要です。医療機関にとって最も理想的なのは、「ひとつの治療に対する患者さんの在院日数が少ない」状態です。そのためには、合併症や後遺症をつくらないようにすることが大切です。ひとつの疾患に対してばちっと当てはまる治療を行って、合併症も後遺症もなく、患者さんが純粋に回復して健康的な生活を取り戻せれば、次から次へと新しい患者さんが訪れる好循環が生まれます。患者さんを守る医療安全やEBMは、その好循環をつくり出すために欠かせない考え方なのです。
逆に、医療安全やEBMを軽視して1例ごとに問題を起こしてしまうと、入院が長引いてしまううえ、問題に対処する医療経費もかさんでいきます。経営的な観点で言えば、利益が出にくくなってしまうのです。
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