上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

認められていない考え方をごり押しするルール違反は許されない

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

■常に患者を守る側に立つ

 一部報道によると、会員制のSNSで安楽死を肯定する発言を繰り返し、亡くなった女性患者と実際にやりとりをしていた宮城県の医師は、医学部を卒業後に厚労省に入り、7年ほど医師国家試験を担当する「試験専門官」を務めていたといいます。逮捕されたもうひとりである東京都の医師は、日本の医科大学を中退した後、海外の大学を卒業したと申請して医師国家試験を受け、医師免許を取得したそうです。しかし、海外の大学を卒業した事実が確認できないため、警察は、東京都の医師が不正に医師免許を取得した可能性と、当時、試験専門官を務めていた宮城県の医師の関与についても調べているといいます。

 仮にそれが本当だとすれば、彼らは医師の資格を取得する時点で、すでにルール違反を犯していることになります。簡単にルールを破ってしまえるうえ、ルール違反に対して何の後ろめたさも感じないタイプといえるでしょう。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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