マラドーナも手術「慢性硬膜下血腫」には目の異常が表れる

マラドーナの手術は成功(C)Norio ROKUKAWA/office La Strada

 マラドーナ氏の硬膜下血腫は慢性硬膜下血腫と呼ばれ、老人によく見られるものだ。慢性硬膜下血腫の主な症状は、①消えない頭痛②錯乱と眠気③吐き気と嘔吐④呂律が回らない⑤バランスの喪失⑥歩行困難⑦体の片側の脱力感など。特に高齢者では、記憶喪失、見当識障害、性格の変化が見られ、認知症と間違われやすい。

 実はこの病気は、それ以外にめまいなど視覚の異常が表れることが知られている。

「出血が頭蓋内にたまって起きる脳圧亢進によって、うっ血乳頭(目の奥の視神経の出口を視神経乳頭といい、それがむくみ、充血した状態)が発生。その結果として頭痛、吐き気、嘔吐、視力低下が生じ、それをきっかけに病気が発見される場合も少なくありません。また、脳圧亢進による圧迫性の外転神経麻痺(目を外側に動かす筋肉のことを外直筋といい、その筋肉を動かす外転神経が何らかの原因で麻痺し、動かなくなる状態)によって、眼球運動が阻害されて複視(モノが二重に見えること)を訴えることもあります」

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