マラドーナも手術「慢性硬膜下血腫」には目の異常が表れる

マラドーナの手術は成功(C)Norio ROKUKAWA/office La Strada

 また、脳内で眼球の運動などをつかさどる前頭眼野の圧迫により、共同偏視(病巣側や病巣とは反対側に両目が共に片寄ること)も神経眼科外来では見ることがあるという。

「いずれにせよ、頭部打撲の既往や、うっ血乳頭の存在などに気が付いて画像診断をすれば、比較的容易に正しい診断にたどり着くことができます」

■リスクの高い人も

 偶発的な頭部外傷から硬膜下血腫を発症することの多い慢性硬膜下血腫だが、リスクが高い人が存在する。心当たりがある人は日頃から注意していた方がいい。

「例えば、脳萎縮のある高齢者、コンタクトスポーツをするアスリート、抗凝血剤を服用している人と血友病患者、お酒が大好きな人、そして赤ちゃんです。赤ちゃんと聞いて意外に思われる人もいるかもしれませんが、赤ちゃんは4頭身でバランスが悪く、転倒などで軽く頭を打っただけなのに慢性硬膜下血腫になる場合があります。また、慢性タイプの硬膜下血腫は特に高齢者によく見られます。赤ちゃん同様、軽い頭部外傷でも引き起こしやすい。静脈性の出血はゆっくりと起こり、症状は数週間または数カ月間、表れない場合もあります。症状の発現が遅れているため、高齢者は頭部外傷がどのように起こったかさえ思い出せないことも多い。また、変化は非常に微妙でゆっくりと発生するため、友人や家族がその発症に気付かない場合もあります」

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