もう一つのコロナワクチン ウイルスベクターの期待と課題

世界各国で治験が行われている(C)ロイター

 日本政府は、ファイザーとは来年6月までに6000万人分、モデルナとは来年1月から6月までに2000万人分のワクチンの供給を受ける契約を結んでいる。安全性がさらに確認され、このまま順調に開発が進めば、期待できるワクチンといえそうだ。

 日本が供給を受けることで合意しているワクチンがもうひとつある。イギリスの製薬大手アストラゼネカがオックスフォード大学と共同で開発している「ウイルスベクター」と呼ばれるタイプのワクチンだ。開発が成功した際に6000万人分を確保しているという。

「このワクチンも、体内で新型コロナウイルスのスパイクタンパク質を作り出す遺伝子を投与して抗体を産生させ、ウイルスを排除します。さらにキラーT細胞によってウイルスを退治する細胞性免疫も引き起こすといわれています。mRNAワクチンと異なるのは、ターゲットの細胞内まで遺伝子を運ぶ運搬役として、ウイルスを使っているところです」(神崎氏)

2 / 4 ページ

関連記事