■“選ばれた患者”だけが対象になる可能性も
ただし、いくつか課題が指摘されているのも事実です。細胞5000万個分の心筋球を注射で心臓に注入するためには、針で十数カ所を刺すことになります。心臓を傷つけないように先端を加工した特殊な針を使用しますが、それでも心筋には何らかのダメージを与えてしまう可能性があります。そうなると、不整脈が表れるリスクが高まるかもしれないのです。その点、心筋シートを貼り付ける方法であれば心臓を傷つける心配はありません。
また、細胞の塊を注入するため、微小な血管に詰まってしまうのではないかという声もあります。もちろん、これまでの動物実験でしっかり安全性が確認されたからこそ臨床試験のゴーサインが出されたわけですが、期待しているほどの効果が出なかったり、予期していなかったトラブルが起こるリスクがあるのも事実です。今回の臨床試験では、一つ一つしっかり確認する必要があるでしょう。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」