進化する糖尿病治療法

がんの抑制に期待 古くて新しい薬「メトホルミン」に注目

写真はイメージ(C)PIXTA

 また、10月に行われた日本糖尿病学会では、メトホルミンが腸内にすむ細菌叢「腸内フローラ」にも関係していることが発表されました。

 メトホルミンの服用で、腸内フローラに良い影響をもたらし、血糖値が低下するというのです。

 メトホルミンの注意点として、乳酸アシドーシスという副作用のリスクは低くなったとはいえゼロではないので、手術前や造影剤を使用する画像検査前後では、一時的に使用を中止すること。

 また、腎臓が悪い患者さんでは、薬剤の排泄が減少し、血中濃度が上昇する恐れがあります。特に腎機能が落ちている75歳以上の高齢の患者さんでは、メトホルミンの使用は慎重にならなければなりません。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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