科学が証明!ストレス解消法

キングカズにならう 嫌みを激励に変える「無効化」のすすめ

キングカズは張本氏の「引退勧告」を「激励」と認識(C)日刊ゲンダイ

 無効化とは、話し手側が発言によって実現しようとしている「攻撃的な行為」を、聞き手側が自らの発言によって別の「行為」にすり替えて、攻撃的な効果を無効にしてしまうことです。

 無効化の好例としてサッカー選手のキングカズこと三浦知良さんの発言があります。

 元プロ野球選手の張本勲氏が、キングカズが現役を続けていることに対して、「若い選手に席を譲らないと。団体競技だから伸び盛りの若い選手が出られない。だから、もうおやめなさい」という発言をしたことがありました。

 この発言を受けて、世間は「余計なお世話」「老害発言」などメディアも巻き込んでの論争になりましたが、当の本人、キングカズは「張本さんほどの方に言われるなんて光栄です。『もっと活躍しろ』って言われているんだなと思う。『これなら引退しなくていいって、オレに言わせてみろ』ってことだと思う」と発言し、張本氏の「侮辱」の言葉を「激励」にすり替えて、攻撃力を完全にそいだのです。この発言には、世間も当の張本氏も絶賛し、無事に落着を迎えました。

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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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