体重は4キロも減り、見た目もげっそりしてきました。結婚式当日も、祝宴の食事にはほとんど手をつけず、田舎から出てきた姉には「娘さんいなくなるのが寂しいんじゃないの?」と冷やかされました。
それでも、どうにか無事に娘の結婚式を見届けることができました。A医師がさっそく消化器内科医長に相談したところ、翌週に大腸内視鏡検査を予定してくれました。
内視鏡の検査中、医長から「A先生、S字状結腸のところの粘膜が少し赤くなっています。でも、がんはありませんよ。写真を撮っておきますね」と言われました。がんは一切なかったのです。
検査の前処置としてすべての便を出した影響もあったのでしょうか、その後、腹痛などの症状もまったくなくなりました。
A医師は、「この2カ月の腹痛は何だったのだろうか? 患者さんを相手に誤診することなんてないのに……やっぱり『病は気から』なんだろうか。自分のことになるとこの体たらくとは」などと思いながら、スマホに送られてきた娘の新婚旅行の写真を眺めました。
医師も自分のこととなると素人も同然です。
がんと向き合い生きていく