がんと向き合い生きていく

「O-リングテスト」がん治療に有効である科学的根拠はない

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 ある日、高校の同級生から「友人のBさんが電話で相談したいことがあるのでよろしくお願いしたい」というメールが届きました。

 Bさん(70歳・男性)は、理系の大学を卒業し、その後は長い間、大学の研究所に勤めていたそうです。定年退職後は科学系の雑誌の発行に携わり、学校で講演をされたりもしている方とのことでした。数日後、Bさんから電話があり、相談はこんな内容でした。

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 私は某がん拠点病院で肺がん「ステージ4」と診断され、現在、標準的抗がん剤治療を行っている。自分では治療内容には問題ないと思っている。しかし、医師から「手術できない」と言われたこともあり、いろいろな情報を集めてみた。そのうちの「O-リングテスト」(オーリングテスト)について意見を聞きたい。

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 Bさんは、「O-リングテストは副作用がない方法だ」と言われ、とても乗り気になっておられるようでした。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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