上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

心臓と大きく関わっている脳梗塞は総合的な治療体系が必要

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 脳梗塞にはいくつか原因がありますが、全体の30%くらいは心臓が原因となる心原性脳梗塞です。しかも、心原性脳梗塞は片麻痺や言語障害などの後遺症が残りやすく、介護や介助といった生活支援が必要になり、生活の質が著しく落ちてしまいます。さらに、再発もしやすく、突然死を招くケースも少なくありません。

 ですから、かつて脳梗塞にかかったことがある人、発症リスクが高い人などを含め、脳梗塞を予防したり重症化させないようにするために、心臓側からも考えて対策するべきなのです。

 たとえば、脳梗塞を発症した患者さんの心臓に疾患があれば、それをしっかり治療する。心房細動などの不整脈がある場合も、必要ならばカテーテルアブレーションをはじめとした治療を行ったり、血液をサラサラにする薬を使う際にはその患者さんに最も適したものを使う――。脳梗塞は脳の血管が関与している疾患ですが、そちらに対する処置だけでなく、心臓をきちんと管理しながら脳の血管に対する治療を行うのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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