上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

右目の手術を受けて手元がさらにはっきり見えるようになった

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 眼科の医師によると、穴が自然に塞がることはほとんどないため手術が必要とのことでした。かつては効果的な治療法がなかったそうですが、いまは硝子体手術が劇的に進歩して問題なく改善するといいます。黄斑から残った膜を剥ぎ取って“引っ張り”をなくしたうえで、一時的に眼球内にガスを充填させて穴を閉じるという方法です。

■眼内レンズを入れる白内障の手術も

 ただ、私は少しだけ白内障もあったため、同時に白内障の手術も必要でした。黄斑円孔の手術ではレンズの役割をしている水晶体を取り除きます。ですから、白内障で白く濁っている水晶体を取り除き、人工の水晶体=眼内レンズを入れる手術も受けることになりました。

 先ほどお話ししたように、普段は遠近両用の多重焦点コンタクトレンズを入れて手術をしています。そのため、多重焦点の眼内レンズを入れる選択肢もありましたが、結局、近い距離に焦点を合わせた単焦点レンズを選びました。手術など手元の作業をする際に不自由がないようにするためです。眼科の医師からも「仮に何かトラブルがあったときすぐに取り換えられないから、眼内レンズは近いところがはっきり見える単焦点にしておいて、遠いところは最終的に近視用のコンタクトレンズで調整したほうがいい」とすすめられました。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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