上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

活動的で質の高い生活にはより良い「視力」が欠かせない

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

■機能の低下が生活の質の低下に直結

 好きなゴルフでも、まだ違和感があります。術後3週間以上が経過してから解禁したのですが、ボールを打つ時は手元の距離よりも少しだけ遠いところに焦点を合わせなければならないので、少し見づらく感じます。また、打ったボールを目で追った時も焦点の合い方にタイムラグがあります。ただ、近いうちに右目だけ近視用のコンタクトレンズを入れて調整する予定なので、徐々に慣れてくるでしょう。

 手術前は視力低下の影響でスコアが伸び悩んでいた時期があったので、視力が戻って見え方に順応すれば、スコアアップが期待できます。手術と同じくゴルフも完全復活できる日が楽しみです。

 私の場合もそうでしたが、仕事でも趣味でも日常生活でも、視力は極めて重要です。まず動物が生きるうえで、敵か味方か、危険か安全かを判別するためのスタートラインは視認することです。さらに、単に生きるためだけでなく、より高度な行動をする際や、自身が持つ身体能力を最大限に生かすためにも、視覚情報が欠かせません。つまり、質の高い活動能力のためには、より良い視力が必要なのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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