「常に」というのは、外出時に災害に遭い、そのまま避難所へ……といったケースもあるからだ。東日本大震災の直後は、自宅に帰れなかったり、交通網のまひでかかりつけの病院に行けなかったりで、「普段飲んでいる薬が手元にない」という人が数多く出た。医療機関や薬局も、電源などが断たれ、患者の薬歴をパソコンで閲覧することもできなくなった。
しかし、お薬手帳があれば、いつも飲んでいる薬を正確に確認できる。緊急時には処方箋がなくても薬を処方してもらえるケースもある。
「最近はジェネリック医薬品(後発医薬品)も多く、製品名だけではうまく伝わらないこともあります。患者さんによって複数の薬を併用している場合もありますし、禁忌の飲み合わせもあります。薬は適切な使い方をしてこそ、安全かつ効果的に使用することができます。だからこそのお薬手帳なのです」