進化する糖尿病治療法

血糖コントロールが悪い糖尿病患者は歯周病発症率が2.6倍高い

写真はイメージ

 1つめは、高血糖で脱水傾向になり、口の中が乾燥して唾液による自浄作用が低下すること。2つめは、高血糖で細菌に対する抵抗力が弱まること。3つめは、血中の過剰なブドウ糖がタンパク質と結び付いてAGEs(最終糖化産物)という物質を作り出し、これが歯周組織の性質を機能的に変化させること。

■認知症にもなりやすい

 歯周病もまた、さまざまな病気のリスクを上げることが知られています。歯がぐらぐらしたり歯の数が減れば食べられるものが限られてきます。すると十分な栄養が取れなくなります。硬いものが食べづらく、加熱しないと食べられないとなれば、熱に弱いビタミン類の摂取量が減ります。栄養不足は体全体の働きを低下させ、病気への抵抗力を弱めます。食事量が減ると、衰弱や虚弱を表す「フレイル」にも陥りやすくなります。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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