私が診ている大学病院では、比較的重症な糖尿病患者さんや治療に熱心な患者さんが中心ということもあり、受診を中断せず、病院に通い続けてくれている方がほとんどです。ただ、糖尿病患者さん全体で見ると、途中でドロップアウトしてしまい、症状が進行してからまた通い始める、という方も少なくありません。
厚労省の「糖尿病予防のための戦略研究」では、「通常診療群(積極的に治療の必要性を説かない一般的な診療)」で、1年当たりの受診中断率は、「パイロット研究」では8.16%、「大規模研究」では8.25%。パイロット研究とは、研究の初期段階で行う少人数の被験者を対象とした研究のことで、これらの結果から1年当たりの受診中断率は8%程度と推定されます。
この研究結果からは、年齢では若い人ほど、性別では男性ほど、そして仕事を持っている人ほど、受診の中断をしやすい傾向にあり、過去に受診中断をした人の方が受診中断率が高い、と示されました。
進化する糖尿病治療法