人生に勝つ性教育講座

ルネサンス期の“3大巨匠”ラファエロの悲恋と瀉血療法

バチカン美術館「ラファエロの間」/(C)PIXTA

 そんなラファエロは「女ったらし」と言われるほどの女性好き。「美しい女性を描くには、多くの女性と付き合わなければならない」との言葉を残したともいわれ、実際、ある壁画を描いた時には恋人が気になって仕事にならないというので、発注主がその女性と同棲させてやることで何とか壁画を完成させた、とのエピソードが残されています。

 ラファエロは37歳の誕生日に亡くなります。通説では死因は梅毒です。女性関係が派手だったのでそう考えられたのかもしれません。しかし、昨年発表されたタリアの研究では「新型コロナに似た肺炎症状で亡くなったのではないか」と報告しています。ある芸術家の評伝に「彼は寒い中、夜な夜な外出しては恋人の元を訪れていたが、そのことを医師らに黙っていた」と書かれていたことからです。

 しかも、末期の梅毒ならその症状が表れているはずですが、彼に関するさまざまな記述にはそれがなかったといいます。 いずれにせよラファエロは高熱で倒れ、ローマ教皇の指示で著名な医師が診て「瀉血療法」が行われたそうです。瀉血療法とは体内にたまった不要物や有害物を血液とともに外部に排出させることで、健康を回復できるという考えによる治療法です。

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尾上泰彦

尾上泰彦

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

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