新型コロナワクチンの疑問に答える

次々と出現する変異ウイルスに従来のワクチンはどこまで効く?

新型コロナウイルスのワクチン接種を受ける人々(シンガポール)/(C)ロイター

【Q】ファイザーのワクチンは接種後半年で抗体が4分の1になると報告されているが…

【A】「抗体価が4分の1になって再感染が起こっても、その確率は13分の1という論文データがあります。抗体価が下がっても死ぬリスクはないのかといえば、リスクはあります。接種後時間を経て、抗体価が5分の1や10分の1になってくると、やはり再感染率も上がる。そこで欧米では3度目のワクチンを打つ国が増えています。3度目になると2度目の4、5倍の抗体価を得られるため、安心できるだろうという考えです」

【Q】ワクチンの効果について、肥満や飲酒量によって違いはある?

【A】「ファイザーやモデルナは肥満の人に効果が薄いと言われています。肥満の人は免疫系が全体的に発現しにくくなっていることが多いというデータがあります。そもそも肥満の人とやせた人では、同じ分量のワクチンを打った場合の効果は違います。100キロの人と日本人に多いやせ形の40~50キロの人では、効き目が半分以下になるのは当然。また子どもには3分の1の量にするなど、体形に合わせて医師が判断していかなければいけないと思います。嗜好品の影響もあります。宇都宮病院研究チームの調査では、たばこを吸う人は吸ってない人と比べて抗体価が35%低かったことを報告しました。さらに、千葉大学病院がファイザー製ワクチンを接種した職員1774人の抗体を調べたところ、毎日お酒を飲む人は、そうでない人に比べて抗体の総量が約20%少ないという結果を発表しています」

 ただし週2~3回程度の飲酒であれば、まったく飲まない人とほとんど差がなかったという。

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奥田研爾

奥田研爾

1971年横浜市立大学医学部を卒業後、米国ワシントン大学遺伝学教室、ハーバード大学医学部助教授、デューク大客員教授、スイスのバーゼル免疫研究所客員研究員として勤務。2001年横浜市立大学副学長、10年から名誉教授。12年にはワクチン研究所を併設した奥田内科院長。元日本エイズ学会理事など。著書に「この『感染症』が人類を滅ぼす」(幻冬舎)、「感染症専門医が教える新型コロナウイルス終息へのシナリオ」(主婦の友社)、「ワクチン接種の不安が消える コロナワクチン114の疑問にすべて答えます」(発行:日刊現代/発売:講談社)のほか、新刊「コロナ禍は序章に過ぎない!新パンデミックは必ず人類を襲う」(発行:日刊現代/発売:講談社)が8月に発売される。

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