進化する糖尿病治療法

糖尿病患者がコロナにかかったら…薬の飲み方で気をつけること

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 脱水症状とケトン体の発生で、対応が遅れれば死に至ることもある……。それが、糖尿病性ケトアシドーシスなのです。

 コロナを含む何らかの病気になると、シックデーから糖尿病性ケトアシドーシスを起こすリスクが高くなる。残念ながら現時点では、コロナの治療を行うすべての医療機関で、糖尿病のシックデー対策が十分に行われているとは言えません。万が一の場合を考えて、糖尿病がある方は、主治医とシックデー対策について話し合っておくことを強く勧めます。

 2型糖尿病では、一般的なシックデー対策としては、食事量が半分以下であれば薬の量を減量する。発熱や下痢などの脱水がある場合は、メトホルミンやSGLT2阻害薬は休薬する。1型糖尿病では、食事が取れなくてもインスリン注射を完全に中断しない。

 薬を飲んでも吐いてしまう、食事を取れないということが続くなら、糖尿病専門医がいるクリニックの受診を。専門医がいない病院で点滴を受けると、点滴にグルコースが入っているので、高血糖になる恐れがあります。

 ただ、これらはあくまでも「一般的な対策」。シックデー対策は患者さん個人個人で異なります。前述のように、食べられなくても血糖値が高い方もいれば、低い方もいる。高熱だから血糖値が高いとも言えない。だからこそ、事前に主治医としっかり話し合っておいてほしいのです。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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