上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

「脂質=油」はわれわれの心臓に大きな影響を与える

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 健診などですでに高コレステロールを指摘されている人は、スタチンなどのコレステロール降下薬を使って早めにコントロールすることをおすすめします。まだそこまで数値が高くない場合でも、コレステロール値の上昇を防ぐために生活習慣の改善が大切です。

 中でも、食事に気を付けましょう。冒頭でも紹介しましたが、肉やバターなどの乳製品から摂取している飽和脂肪酸を減らし、オリーブオイルや魚から摂取する不飽和脂肪酸を増やすことで、LDLコレステロールを減少させれば、心臓疾患の予防につながります。

 アメリカで実施された大規模コホート研究の解析では、飽和脂肪酸の摂取量を5%減らし、その分のカロリーを多価不飽和脂肪酸に置き換えると心臓疾患の発症リスクが25%減少しました。また、一価不飽和脂肪酸では15%減少、全粒穀物では9%減少したといいます。全粒穀物というのは、玄米や雑穀といった精製されていない穀物のことです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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