進化する糖尿病治療法

健康な人より意識してタンパク質を取らなければならない理由

お肉は重要なタンパク質源(C)PIXTA

「痩せるために、お肉は食べないようにした方がいいですよね」とおっしゃる糖尿病患者さんが時々います。

 糖尿病に肥満は禁物。摂取カロリーを減らして肥満を解消しなくてはなりません。でもそれは、お肉NGということではない。

 お肉は貴重なタンパク質源で、筋肉量保持に重要です。避けるべきは、お肉だけを食べるなどの偏った食事です。実際、糖尿病と診断されたばかりの人の食生活を聞くと、「朝食抜き、昼は牛丼、夜は居酒屋で飲んだ後にラーメン」といったように、食事のほとんどが動物性食品と炭水化物で占められ、野菜、果物、大豆食品、海藻、きのこ類はほとんど食べていない……ということも少なくありません。

 特に糖尿病患者で高齢者は、腎臓の機能が低下していなければ、意識してタンパク質を取った方がいい。糖尿病が筋肉量の低下をもたらし、また筋肉量が低下すると糖尿病のリスクを高めるという双方の関係が複数の研究で報告されているからです。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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