では、なぜ糖尿病で筋肉量が減るのでしょうか? そのメカニズムを2019年、神戸大学の研究グループが世界で初めて明らかにしました。
研究グループは、マウスを使って実験。マウスを糖尿病にすると、筋肉量の減少に伴い、筋肉の減少を促すタンパク、KLF15が増え、筋肉だけでKLF15をなくしたマウスでは、糖尿病になっても筋肉量が減らないことを発見。つまり、糖尿病でKLF15の量が増え、それが筋肉減少に関係していることを突き止めたのです。
次に調べたのは、どのようなメカニズムでKLF15が増えるのか? すると、「健康な人では、WWP1というタンパクが、別の小さなタンパクであるユビキチンをKLF15に結合させ、KLF15の分解速度を速める。しかし、血糖値が上昇するとWWP1の量が少なくなり、KLF15の分解が抑制され、筋肉で蓄積して量が増え、筋肉減少につながる」ということが分かったのです。
進化する糖尿病治療法
健康な人より意識してタンパク質を取らなければならない理由
血糖値が上昇すると筋肉が減少