がんと向き合い生きていく

抗がん剤には柑橘系の果物を食べない方がいいタイプがある

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 このように、似ている果物が並んでいて、どれがダメでどれが大丈夫なのか、とても分かりづらいといえます。また、フラノクマリン類は柑橘類以外にも含まれていることがあり、とても判断が難しいのです。無理に柑橘類を選ぼうとせず、代用可能なものを食べるようにして対応される方がいいでしょう。

■分子標的薬や降圧剤の一部も該当

 イリノテカンは、大腸がん以外でも、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、子宮頚がん、卵巣がん、胃がん、乳がん、有棘細胞がん、非ホジキンリンパ腫、小児悪性固形腫瘍、膵がんなどにも使われます。

 副作用は骨髄抑制と下痢が主なものですが、グレープフルーツの摂取には関係なく、10人に2人は強い副作用が出る場合があります。イリノテカンは肝臓で代謝を受け、活性代謝物のSN-38に変換されて抗腫瘍作用を発揮します。その後、SN-38はUGT(肝臓のUDPグルクロン酸転移酵素)によって抱合反応を受け、不活化されて腸管に排泄されます。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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