進化する糖尿病治療法

薬を早い段階で飲み始めるか、食事と運動でギリギリまで頑張るか…

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■私だったら「早め」を選ぶ

 もし私が血糖値が高く糖尿病という診断が下りたら……。医者の仕事をこなしながら、毎日1日3回決まった時間に栄養バランスの取れた食事をし、適度な運動を取り入れることは極めて難しい時もあるかと思います。減塩や糖質の取り過ぎ回避には可能な範囲で取り組み、2~3カ月様子を見てHbA1cが下がらなければ、すぐに薬物治療に入るでしょう。何よりも、早い段階での合併症の進行を食い止めることを目標とします。そして、今とは違う生活スタイルになったら、食事や運動に気をつけ、薬を減らしていくことを次の目標にするでしょう。

 糖尿病の薬は一度飲み始めるとやめられない?必ずしもそうではないです。血糖コントロールが良い状態を長期間保てていれば、薬を減らせます。前述の通り、今後は合剤もどんどん登場していきますし、飲む頻度が少なく済む薬も登場していきます。結果、薬の効果は今まで以上に、でも毎日は飲まなくていいようになるのです。

4 / 4 ページ

坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

関連記事