五十肩を徹底解剖する

リハビリや体操で硬くなった関節包を外側から引き伸ばす

写真はイメージ

 この問題を克服するため、手術は関節鏡と呼ばれる内視鏡を用いて行います。1センチほどのキズを肩の前後に2~3カ所つくり、そのキズ孔から医師の目の代わりとなる内視鏡を、別の孔からハサミなどの道具を挿入して行います。

 局所麻酔では深部まで届かないので全身麻酔を用います。通常1~3日程度の入院で行いますが、出血もわずかで30分程度で済むだけでなく、長い間苦労しても動かなかった肩が手術終了直後にはまっすぐ天井に向かって伸びるくらいにまで回復しています。表面のキズ孔自体はひと針ほど縫いますが、その保護は絆創膏を貼る程度で十分です。手術翌日にはシャワーも可能で、約1週後の抜糸後には肩まで湯船につかれます。

 内容にもよりますが、家事や仕事復帰は体調次第で退院したその日から許可しています。また早期からリハビリを再開し、広がった肩が再度硬くならないようにします。

 この手術を関節鏡下関節授動術といいます。次回は凍結肩に対する非観血的関節授動術について紹介します。

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安井謙二

安井謙二

東京女子医大整形外科で年間3000人超の肩関節疾患の診療と、約1500件の肩関節手術を経験する。現在は山手クリニック(東京・下北沢)など、東京、埼玉、神奈川の複数の医療機関で肩診療を行う。

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