最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

採用基準の“肝”は「患者の生活を丸ごと支える」覚悟があるかどうか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 この時の苦い経験は決して、勤務態度の悪い職員は今後は規則で縛るのが良いという方へは向かいませんでした。その前にすることがあると考えたわけです。

 大切なのは、私たちが目指す「在宅医療」の本質的な思いに立ち返ること。当院の強み(コアコンピタンス)はなにかということです。それはやはり「患者さんの生活を丸ごと支える」という気持ちを持っているか。そして、その志を「あけぼの診療所」では改めて採用基準としたわけなのです。

 それさえあれば、現場において臨機応変に対応できる人材になると信じたからです。

 現在では当院の持っている価値観と、本人がやりたいことがきちんと一致しているかを入職時に見極めるようにし、入職後も認識にズレが生じていないか、誤解が生まれているようであればきちんと話をして軌道修正をするなどの対処をするようにしています。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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