がんと向き合い生きていく

腸内細菌が免疫チェックポイント阻害薬の効果をアップさせる可能性

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 腸内フローラの主たる形成パターンは、離乳期から小学校低学年の時期につくられるといわれていますが、生涯を通じて変わらないものではなく、環境因子や年齢とともに変化します。しかし、個人個人で特異的なものであり、簡単には変化しないことも分かっています。

 健康な人の腸内フローラは、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が20%、悪玉菌が10%、残りの70%は日和見菌で形成されています。日和見菌というのは、状況によって善玉を助けたり悪玉を助ける働きをする菌種です。

 善玉菌は乳酸や酢酸などをつくり出し、腸内を酸性にすることにより悪玉菌の増殖を抑えて腸の運動を活発にし、食中毒の原因菌や病原菌による感染の予防、発がん性を持つ腐敗産物の産生を抑制する腸内環境をつくります。また、善玉菌は腸内でビタミンB群、ニコチン酸や葉酸などを産生し、体の免疫機能を高めたり血清コレステロールを低下させる効果も報告されています。

2 / 4 ページ

佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

関連記事