手術は日帰りでここまでできる

脱腸・盲腸でも術後1時間で帰宅可能に コロナ禍で需要が増加

欧米では、盲腸や脱腸は日帰り手術が当たり前(C)日刊ゲンダイ

 もしその時、救急搬送された病院がコロナの感染症患者さんでふさがっており、手術ができない状態なら、場合によっては生命に関わります。コロナの終息はまだ見えないどころか、より感染力の強い株に置き換わってきています。今後、医療情勢が悪くならないとは言えません。いかなる病気であっても、適切なタイミングで治療を受けた方がいいことは、言うまでもないでしょう。

 脱腸や盲腸の手術は、無事に終われば全身的な負担は少ないものの「入院した方が、何かあったときに安心だから」という意識が医師も患者さんにもあり、日本ではほとんどの方が入院して治療を受けてきました。

 しかし欧米では、脱腸や盲腸は日帰り手術が当たり前。腹腔鏡手術では、わずか5ミリの細いスコープを使うため、治療時のキズを小さく抑えられます。具体的には、腹部に通常3カ所、直径3~5ミリの穴を開ける程度。だから、体への負担や痛みが少ないのです。

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大橋直樹

大橋直樹

日本外科学会認定外科専門医、全日本病院協会認定臨床研修指導医。東京外科クリニックグループでの日帰り手術の件数は2022年4月末日時点で3101件。

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