高齢者の正しいクスリとの付き合い方

副作用は早期発見が大切 異変を感じたらすぐに相談すべし

異変を感じたらすぐに相談(C)PIXTA

 前回は「クスリの副作用とは何なのか」についてお話ししました。誰も副作用を起こしたくはないでしょうし、私も副作用なくクスリを使っていただきたいと考えています。

 一方で、副作用のないクスリは存在しませんし、どんな副作用がどんなタイミングで起こるかは誰にもわかりません。では、そういった副作用とどのように付き合っていけばいいのでしょうか。

 テレビのニュース番組などで、「薬害」としてクスリの副作用による被害について報道されているのを目にしたことがある方は多いのではないでしょうか。最悪の場合、死に至る副作用もあるため、そういったニュースはかなり印象に残るはずです。なぜ、そんなことになってしまうのか。もちろんクスリのせいではあるのですが、それ以外にも大事な要因があると私は考えています。

 日本人はガマン強い民族です。クスリを使っていて何か気になる症状が出たとしても、「もう少し様子を見て、もっとひどくなったら病院に行こう」と考える方がたくさんいらっしゃいます。特に高齢者は長い人生の中でご苦労された経験もあるでしょうし、この傾向が強いのではないかと思います。みなさんの中にも、こんなふうに思った経験がある方がいらっしゃるのではないでしょうか。実はここに落とし穴があります。

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東敬一朗

東敬一朗

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

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