行動経済学者のダン・アリエリーは、モチベーションのある仕事に対して、あえて意図的にやる気を失わせる実験(2008年)を行っています。
「シジフォス実験」と銘打ったこの実験では、レゴが大好きな被験者を対象に行われました。内容は、レゴを組み立ててモノを作るように指示し、完成したら被験者の目の前で成果物を解体する。それを何度も繰り返し、どのタイミングで被験者がやる気を失うかを調べたというのです。まるで賽(さい)の河原のような光景です。
結果、やる気を失わせるには回数ではなく、シンプルにその人の仕事を無視し、徒労感を与えればいいということでした。半面、やる気を出させるには、その人の仕事を認め、ねぎらいの言葉をかけてあげればいいということでした。
たとえ自分が大好きでこだわりがある仕事だったとしても、相手にされなく、徒労感を感じてしまえば、人はやる気を失ってしまいます。反対に、さほど興味がなく、モチベーションが上がらなくても、やってみた結果を人から褒められれば、やる気は思いのほかすくすくと育つ……。なんとも人間は現金な生き物なのです。
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