がんと向き合い生きていく

「子は宝」 小児がんは早期診断・早期治療がとても大切

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 まさにその通りです。老人が多くなって、人口が急激に減ってきている日本にとって、子供は希望、夢、社会の宝です。

 しかし、その子供の出生数は減少しています。この2年、コロナ禍もあってか、出生の想定数よりもさらに減っているのです。私たちの夢もしぼんできます。収入が少なくても、安心して出産し、子育てができる社会が必要です。

 人口の減少は、日本の衰退です。もっともっと、ウクライナだけでなく、世界中の大変な状況下にいる方々を受け入れる政策も必要だと思います。難民のためだけではなく、日本のためでもあると思うのです。

 以前、小児科病棟を回診した際、とても大変な毎日を送っている親子が少なくないことを実感しました。私は患者さんに直接関わることはできませんでしたが、入院治療中の医療に関してだけでなく、子供の学習、親の付き添いのための寝泊まりなど、もっともっと社会的な支援が必要であることも教わりました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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