がんと向き合い生きていく

「子は宝」 小児がんは早期診断・早期治療がとても大切

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

■医療機関の連携が重要

 かつて、癌研究会付属病院(現在のがん研有明病院)の院長だった西満正先生は、「いたいけな 小児の癌を治す道 早く見つけん 高齢者癌よりも」と詠みました。

 本当にそう思います。小児のがんは、その発生部位がさまざまであり、また急に病状が進行することもあり、早期診断・治療がとても大切です。

 小児がんには、主にユーイング肉腫、横紋筋肉腫、神経芽腫といった固形がんと、小児白血病、悪性リンパ腫などがあります。個々の病理診断によって治療法は異なります。固形がんでは、初発時の治療が手術のみで十分な場合もありますが、進展、再発した場合では、手術、薬物、放射線治療など、さらには造血幹細胞移植などが行われます。

 国は一定の地域ごとに7ブロックに分けて、15カ所の「小児がん拠点病院」を指定しています。東京都では、小児がんの実績がある病院を「東京都小児がん診療病院」として独自に認定し、都内2カ所の小児がん拠点病院と11カ所の小児がん診療病院による「東京都小児がん診療連携ネットワーク」を構築、連携して医療を提供する体制を整えています。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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